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墓場のゆりかご

生まれていったり死んでいったり

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死にたがりの少女と死ねない少女

二次創作ブログより移転。内容に変更はありません。 4月になったというのに、酷く寒気と吐き気がする。ふらふらとした足取りで家路を目指そうとするが時折耐え切れず華奢な体を屈め何度も嘔吐した。少女はそれを見て更にぼろぼろ涙を零しながら何とか立ち上がった。

少女はこの日、強姦された。白昼堂々と男数人にあっという間に囲まれ逃げ場を失い、声を荒立てぬように何人もの手が少女の唇を塞ぎ、更に羽交い絞めされ、どこかに連れて行かされた。少女と同い年の男子数名と、年上の高校生らしき男子がにやにやしながら服をあっという間に脱がしていく。少女は恐ろしくて悲鳴すら上げれず、されるがままにされた。あとはもう覚えていないが、服が脱がされ吐き気のするような臭いが体中からして、ぬとぬととする白い液体をかけられているところを見ると、自分の処女はあの数名の男子によって奪われたのだろう。少女はこれまでにない絶望をひしひしと感じながら、おいおい泣きじゃくった。

少女は不幸だった。絵に描いたような不幸さで、他人が話を聞いても嘘だと思われてしまうだろう。だがそれは例えようのない事実なのだ。
少女は本当に不幸だった。優しい母と父がいて、記憶を手繰りよせると5歳までは幸せだったはずだ。だがそんな幸せも脆く崩れ去り、まず母が何者かに殺害され、それから1年もせぬ間に父までもが殺された。母の犯人も父の犯人も未だ捕まっていない。父はカメラマンで、何かトラブルがあったのではないかと推測されるが、そんなもの少女には何の関係もなかった。唯一頼りにしていた父さえもいなくなり、少女は一気に奈落の底まで落ちてしまった。父が死んだ頃から何故か友達が遊んでくれなくなり、その上苛めまで起こった。子供からも、その保護者からも酷い目に晒され、少女は15歳になるまでずっと一人きりでいなければならなかった。

死にたいと、少女は思った。どうしたら死ねるのだろう。
何度も決心し、自らの命を絶とうとした。包丁で脈を切って出血多量で死のうとして実行した時も、飛び降り自殺しようとした時も、薬を大量に飲んで死のうとした時だって数え切れないほどあった。だがどれも未遂に終わってしまうのだ。本当に不可解な出来事だった。だが少女にとって、その不可解な出来事は絶望の糧にしかならない。なにしろ死ねないのだ。こうなると自分は本当に人間なのだろうかとさえも疑わしい。

少女は死にたかった。だがどうしても死ねず、5歳の時から10年もの間生と死の狭間で生きてきた。生きていることが申し訳なかった、恐ろしかった。誰かに疎まれ、暴力を振るわれ、痛い思いはもう二度と味わいたくなった。少女はふと思った。これは罰なのだ。私は沢山の人に酷いことをした。だから死ねない。地獄を味わえと神様がこう私に命令しているのだ、と。
少女は誰かに自分を裁いてほしかった。人の為とは言っているが、結局のところ自分の罪を許されたいのだ。少女は沢山人を殺した。どんな方法で、かはわからない。だが沢山の人を殺した。狂言や妄想の類ではない。その証拠に今でも鮮明に覚えている。人が消されていくあの感覚が、胸や脳内にこびりついて離れない。もしかしたら強姦したあの数名もこの手にかけてしまったのかもしれない。それで心が崩壊すればいいのに、何度発狂するようなことを考えても完全には狂えないのだ。もしかしたらもう自分は狂ってしまったのかもしれない。


ある日奇跡が起きた。
少女を殺しに誰かがやってくる気配がする。ああ!と少女は思わず感嘆の声を上げた。私を殺しに誰かがやってくる。その誰かによって死ねる日が、近いうちにやってくる。嬉しくて嬉しくて久しぶりに大声立てて笑った。幼女のような無垢さがあった。その日から学校に行くのが少し、楽になった気がした。

忘れもしない冬の日、男がやってきた。
明らかに悪意と殺意を少女に向けて、ナイフを手に持っているその男は高身長で、こんな状況でなければ一目ぼれするに違いない顔立ちをしていた。
少女は嬉しそうに微笑みながら「お待ちしていました」と男に告げた。
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